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AI研修に使える助成金・補助金5制度まとめ【2026年版】|助成率・対象条件・申請手順を中小企業向けに比較

「社員にAIを使えるようになってほしいが、研修費用が重い」「助成金が使えると聞いたが、どの制度が自社に当てはまるのか分からない」「申請の条件や期限を間違えて、もらえなかったら困る」——AI研修を検討する中小企業の担当者から、こうした相談を多くいただきます。

結論から言うと、AI研修に使える公的支援は、国の人材開発支援助成金の3コース、東京都の助成金、ツール導入と一体で使える補助金の計5制度に整理できます。本命は人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」で、中小企業なら研修経費の75%と1人1時間あたり1,000円の賃金助成が受けられますが、令和8年度(2026年度)が最終年度の期間限定制度です。この記事では、5制度の助成率・上限・対象条件を一覧で比較し、自社がどの制度を使うべきかの判断基準、申請の流れ、実質負担の試算、よくある失敗例までを整理します。

なぜAI研修に助成金を使うべきなのか【データで見る費用の壁】

中小企業の8割が人材育成に課題を抱え、「指導する人がいない」が最大の理由

厚生労働省の「令和6年度能力開発基本調査」(2025年6月27日公表)によると、人材育成に「問題がある」と回答した事業所は79.9%に達します。問題点の内訳で最も多いのは「指導する人材が不足している」の59.5%で、「人材育成を行う時間がない」が続きます。「人材育成にかける金銭的余裕がない」は14.5%と、費用は第一の壁ではありませんが、AI研修のような新しい分野では社内に教えられる人がいないため、外部研修に頼らざるを得ず、結果として費用の問題が表面化します。なお同調査で、教育訓練費用(OFF-JT)を支出した企業は54.9%にとどまり、半数近くの企業は外部研修への支出そのものが習慣化していません。

研修費は1人あたり年3万円台が実態で、助成金対応のAI研修は税抜30万円前後

産労総合研究所の「2025年度教育研修費用の実態調査」(回答159社)では、従業員1人あたりの教育研修費用は年間36,036円、中小企業では31,788円でした。一方、当社が2026年8月に公開料金を調べた範囲では、助成金対応をうたう法人向けAI研修パッケージは一式で税抜30万〜33万円に集中しています。これは人材開発支援助成金の経費助成上限(中小企業・10時間以上100時間未満で1人30万円)に各社が価格を寄せている構図で、助成金を使う前提で設計された市場だと言えます。研修費用の相場と内訳は「AI研修の費用相場を徹底解説」で詳しく整理しています。

中小企業の8割近くが「費用助成」を公的支援に求めている

中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月公表、有効回答1,647社)では、AI導入に向けて必要な公的支援として「導入費用の助成」を挙げた企業が77.9%、「従業員向けの教育・研修」が67.7%でした。費用と研修の両方を公的支援で補いたいというニーズが明確に出ており、AI研修に助成金を組み合わせるのは多くの中小企業にとって自然な選択です。帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月)でも、生成AI活用の課題として「資金不足」を挙げた割合は大企業6.6%に対して小規模企業13.6%と、規模が小さいほど資金面の制約が強いことが示されています。

AI研修に使える助成金・補助金の全体像【5制度の比較表】

AI研修に使える公的支援は、大きく「国の人材開発支援助成金(3コース)」「自治体の助成金(東京都の例)」「ツール導入補助金の研修費用」の3系統・5制度です。まず全体を一覧で比較します。

制度

実施主体

中小企業の助成率・額

経費助成の上限

対象時間

AI研修との相性

①人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース

厚生労働省(労働局)

経費75%+賃金1,000円/時間

1人30万円(10〜100時間未満)〜50万円(200時間以上)

10時間以上のOFF-JT

◎ 本命。DX関連訓練として設計しやすい。令和8年度で終了

②人材開発支援助成金 人材育成支援コース

厚生労働省(労働局)

経費45%(賃金要件等達成で60%)+賃金800円/時間(同1,000円)

1人15万円(10〜100時間未満)〜50万円(200時間以上)

10時間以上のOFF-JT

○ 恒久制度。①の要件に合わない場合や①終了後の受け皿

③人材開発支援助成金 人への投資促進コース

厚生労働省(労働局)

定額制訓練:経費60%(達成で75%)/高度デジタル人材訓練:経費75%+賃金1,000円

定額制訓練は1人1か月2万円/高度デジタル人材訓練は1人30万〜50万円

定額制は修了訓練の合計10時間以上

○ eラーニング受け放題型や、ITSS・DSSレベル3以上の高度訓練向き。令和8年度で終了

④東京都 DXリスキリング助成金(令和8年度)

公益財団法人東京しごと財団

経費の4分の3

1人1研修7万5,000円、1企業年度100万円

3時間以上10時間未満

○ 都内企業の半日〜1日研修向き。①〜③と時間帯が補完関係

⑤デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)

中小企業庁(事務局:中小機構等)

補助率1/2以内(条件により2/3以内)

5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下

時間要件なし(ツール導入が主目的)

△ AIツール導入に付随する「導入研修」が役務として対象。研修単独では使えない

使い分けの基本は、「10時間以上の研修なら①、都内企業で10時間未満なら④、AIツール導入と同時なら⑤、①が使えないなら②か③」です。以下、制度ごとに要点を見ていきます。制度の数値は各公式ページ・パンフレット(令和8年4月8日版・8月3日版)に基づいており、申請前に最新の支給要領を必ずご確認ください。

制度①:事業展開等リスキリング支援コース【本命・令和8年度で終了】

助成率と上限:中小企業は経費75%、賃金1,000円/時間、設備投資加算50%

厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、AI研修と最も相性がよいのがこのコースです。令和8年度版のご案内(厚生労働省PDF)によると、中小企業の助成内容は次のとおりです。

項目

中小企業

大企業

経費助成率

75%

60%

賃金助成(1人1時間あたり)

1,000円

500円

設備投資加算(導入費用に対して)

50%

対象外

経費助成の上限(1人あたり)

30万円(10〜100時間未満)/40万円(100〜200時間未満)/50万円(200時間以上)

20万円/25万円/30万円

eラーニング・通信制の上限(1人あたり)

15万円

10万円

1事業所1年度の上限

1億円

eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は受けられません。会社で対面またはリアルタイムのオンライン研修を行う形式にすると、賃金助成まで受けられます。

対象となる訓練:10時間以上のOFF-JTで、3類型のいずれかに該当

対象は雇用保険被保険者に対する10時間以上のOFF-JT(通常業務と切り離した訓練)で、次の3類型のいずれかに該当する必要があります。

  • ⅰ 事業展開に伴う新分野の訓練:新規事業の立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練
  • ⅱ DX・GX化に関連する訓練:企業内のデジタル・DX化やグリーン化を進めるにあたり、関連業務に従事させる上で必要な専門的な知識・技能を習得させる訓練
  • ⅲ 人事・人材育成計画に基づく訓練:今後3年以内に従事予定の職務に必要な知識・技能を習得させる訓練。中小企業はあらかじめ認定経営革新等支援機関の確認が必要

生成AIの業務活用研修は、多くの場合ⅱのDX化関連訓練として整理できます。ただし、計画届と併せて「事業展開等実施計画」を提出する必要があり、自社のDX化の取り組みと研修内容のつながりを具体的に記載できるよう準備しておく必要があります。

令和8年8月3日改正で押さえるべき4点

令和8年8月3日に支給要領が改正され、改正後に提出する計画届には新ルールが適用されます。AI研修に関係する変更点は次の4つです。

変更点

内容

AI研修への影響

対象外訓練の明確化

職務に間接的にしか関連しない訓練や、職業人として共通の基礎スキル訓練は、DX・GX関連でも対象外

「生成AIの一般的な使い方」だけの研修は通りにくい。受講者の職務と結びついたカリキュラムが必要

eラーニングの受講回数

1労働者につき1年度で1回まで(従来は3回まで)

複数のeラーニング講座を年度内に重ねる計画は再設計が必要

不正受給時の公表

支給申請段階で不正が判明した場合、自主申告がなければ支給決定前でも原則公表

「実質無料」をうたう研修会社の還元スキームには絶対に乗らない

経過措置

8月2日以前に教育訓練機関と契約・申込みをしていれば旧ルールを適用

契約日が分かる書類を保管しておく

改正内容の詳細、対象外訓練の判断例、設備投資加算の要件は「事業展開等リスキリング支援コース【2026年8月改正版】徹底解説」で網羅していますので、このコースを使う方は必ずあわせてご確認ください。

制度②③:人材育成支援コースと人への投資促進コース【①が使えないときの選択肢】

人材育成支援コース:恒久制度で、助成率は低いが要件が広い

同じ人材開発支援助成金の中で、期間限定ではない基本のコースが「人材育成支援コース」です。令和8年度版のご案内(厚生労働省PDF)によると、10時間以上のOFF-JTである「人材育成訓練」の中小企業向け助成は次のとおりです。

項目

通常分

賃金要件・資格等手当要件を満たす場合

経費助成率(正規雇用労働者等)

45%

60%(+15%)

経費助成率(有期契約労働者等)

70%

85%(+15%)

賃金助成(1人1時間あたり)

800円

1,000円(+200円)

経費助成の上限(1人1訓練あたり)

15万円(10〜100時間未満)/30万円(100〜200時間未満)/50万円(200時間以上)

1事業所1年度の上限

1,000万円

「賃金要件」は訓練修了後に受講者の賃金を5%以上引き上げること、「資格等手当要件」は就業規則等に資格等手当を定めて支払い、賃金が3%以上上昇することを指します。事業展開やDX化の計画を用意しなくても、職務に関連した10時間以上の訓練であれば対象になる点が①との違いで、①が令和8年度で終了した後の受け皿としても位置づけられます。ただし10〜100時間未満の上限が15万円と①の半分になるため、税抜30万円台の研修では助成額が13万5,000円程度(45%)にとどまります。

人への投資促進コース:eラーニング受け放題と高度デジタル人材訓練に強い

「人への投資促進コース」も令和4〜8年度の期間限定コースで、令和8年度版のご案内(厚生労働省PDF)によると5つのメニューがあります。AI研修に関係が深いのは次の2つです。

  • 定額制訓練:サブスクリプション型の研修サービス(受け放題のeラーニング等)を利用した場合、中小企業は経費の60%(賃金要件等を満たすと75%)を助成。経費助成の上限は受講者1人1か月あたり2万円。賃金助成はありません
  • 高度デジタル人材訓練:ITスキル標準(ITSS)・DX推進スキル標準(DSS)でレベル3・4となる訓練等が対象。中小企業は経費の75%と賃金助成1,000円/時間で、経費助成の上限は実訓練時間数に応じて1人30万〜50万円

全社員に基礎知識を底上げする目的で定額制のeラーニングを契約する場合は定額制訓練、社内のDX推進担当者に高度な資格レベルの訓練を受けさせる場合は高度デジタル人材訓練が候補になります。なお定額制訓練の受講回数は1年度3回までで、①の定額制サービスによる訓練と合算して数えます。

制度④⑤:東京都のDXリスキリング助成金とデジタル化・AI導入補助金

東京都DXリスキリング助成金:10時間未満の研修をカバーする都内企業向け制度

国の人材開発支援助成金は10時間以上の訓練が条件のため、半日〜1日の短時間研修には使えません。この隙間を埋めるのが、東京しごと財団の「令和8年度DXリスキリング助成金」です。公式ページによると要点は次のとおりです。

項目

内容

助成率

助成対象経費の4分の3

上限

受講者1人1研修あたり7万5,000円、1申請企業あたり年度100万円(上限に達するまで複数回申請可)

対象研修

DX推進に必要な知識・技能の習得・向上を目的とし、1研修の総研修時間が3時間以上10時間未満。8割以上の受講が必要

対象企業

都内に本社または主たる事業所がある中小企業等

申請期限

研修開始予定日の1か月前まで

受付期間・実施期間

受付は令和8年3月1日〜令和9年2月28日。令和8年4月1日〜令和9年3月31日に開始し、令和9年8月31日までに終了する研修

併給

同じ研修について国や地方公共団体から助成を受けていない(受ける予定もない)ことが条件

国の制度と同じ研修に重ねて申請することはできませんが、「基礎編は都の助成金で半日研修、実践編は国の助成金で10時間以上の研修」というように、研修を分けて設計すれば両方を活用できます。

デジタル化・AI導入補助金2026:ツール導入に付随する「導入研修」が対象

2026年度からIT導入補助金の後継として実施されているデジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)は、研修そのものではなくAIツール導入を補助する制度です。ただし補助対象経費の「役務」に、導入コンサルティング・活用コンサルティングと並んで「導入設定・マニュアル設定・導入研修」が明記されており、導入するAIツールの使い方研修を導入費用と一体で申請できます。補助率は1/2以内(条件により2/3以内)、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。公式ページ掲載の直近スケジュールは、締切が2026年9月29日17時、交付決定が同年11月9日(予定)、事業実施期間は交付決定から2027年4月30日まで(予定)です。

注意点は、研修会社の汎用的なAI研修は対象にならず、登録されたITツールの導入に付随する研修に限られること、そして同一の経費を人材開発支援助成金と重ねて申請できないことです。「ツール導入費と導入研修は補助金、業務活用の研修は助成金」と経費を切り分けるのが基本です。AI導入自体に使える補助金の比較は「AI導入で使える補助金まとめ」で解説しています。

助成金の対象になる条件チェックリスト【申請前に確認】

「ai研修 助成金 条件」で調べている方が最も知りたいのは、自社の研修計画がそのまま対象になるかどうかでしょう。人材開発支援助成金(①②)を中心に、事業主・訓練・研修内容・研修会社の4つの観点でチェック項目を整理します。

事業主側の条件

  • □ 雇用保険適用事業所であり、受講者が雇用保険被保険者である
  • □ 労働保険料を滞納していない(支給申請年度の前年度より前の未納がない)
  • □ 支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反がない
  • □ 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知している(計画届の前提)
  • □ 過去に助成金の不正受給による不支給措置を受けていない

訓練側の条件

  • □ 実訓練時間が10時間以上のOFF-JTである(都のDXリスキリング助成金は3時間以上10時間未満)
  • □ 訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を提出できるスケジュールになっている
  • □ 受講率8割以上を満たせる出席計画になっている(通学制・同時双方向型の場合)
  • □ 訓練経費を事業主が全額負担し、受講者に一部でも負担させていない
  • □ 支給申請までに経費を全額支払い終える資金計画になっている

研修内容の条件(令和8年8月改正後)

  • □ 受講者の職務と研修内容の対応関係を具体的に説明できる(営業なら提案書作成、経理なら帳票処理など)
  • □ 「生成AIの一般的な使い方」「ITリテラシーの基礎」だけで終わらず、業務適用の演習が含まれている
  • □ 既存アプリ・システムの購入とその操作方法の習得だけの内容になっていない
  • □ ①を使う場合、事業展開等実施計画で自社のDX化の取り組みと研修の関係を記載できる

研修会社側の条件

  • □ 申請事業主と密接な関係(役員の親族が代表など)にある会社ではない
  • □ 「助成金で実質無料」「協力金でキャッシュバック」といった還元スキームを提示していない
  • □ 助成金の申請代行を有償で請け負っていない(社会保険労務士以外の有償代行は法律で禁止)
  • □ 計画届に添付できるカリキュラム(時間割・内容・講師)を提供できる

研修会社を選ぶときの基準は「AI研修の選び方完全ガイド」で、カリキュラムの組み方は「生成AI研修カリキュラムの作り方」で詳しく解説しています。

申請の流れ5ステップと逆算スケジュール

人材開発支援助成金(①②③共通)の手続きは、計画届の提出と支給申請の2回が山場です。研修開始日から逆算したスケジュールを表にまとめます。

ステップ

時期

やること

つまずきやすい点

1. 事前準備

研修開始の7か月前〜

職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定・周知。研修会社の選定とカリキュラム確定

研修会社を決めてから制度を調べ始めると、計画届の期限に間に合わない

2. 計画届の提出

研修開始の6か月前〜1か月前

職業訓練実施計画届・対象労働者一覧・カリキュラムを管轄労働局へ提出。①は事業展開等実施計画も添付

1か月前を1日でも過ぎると受理されない。GビズIDがあれば雇用関係助成金ポータルから電子申請も可

3. 研修の実施

計画どおり

出勤簿・受講記録・研修の実施状況を記録。計画に変更があれば変更届を提出

受講率8割未満の受講者は助成対象外になる

4. 支給申請

研修終了日の翌日から2か月以内

支給申請書、OFF-JT実施状況報告書、賃金台帳・出勤簿の写し、振込通知書などを提出

経費の支払いが完了していないと申請できない。2か月の期限は厳守

5. 支給決定・入金

審査後

審査を経て支給・不支給が決定。確認項目が多いため他の助成金より時間がかかることがある

入金まで自己資金で立て替える資金計画が必要

申請様式は厚生労働省の申請様式ダウンロードページから入手できます。東京都のDXリスキリング助成金も「研修開始予定日の1か月前まで」に申請する点は共通で、こちらは東京しごと財団が窓口です。

実質負担はいくらになるか【3つの試算】

制度ごとに、同じ規模の研修でどれだけ負担が変わるかを試算します。いずれも中小企業・正規雇用労働者が受講する前提で、賃金助成は受講時間中に支払った賃金に対する助成なので、研修経費とは別枝で考えます。

ケース

研修の内容

経費助成

賃金助成

経費の実質負担

A. ①リスキリングコース

10名・12時間の業務直結型研修、一式33万円(税抜)

33万円×75%=24万7,500円

12時間×1,000円×10名=12万円

8万2,500円(賃金助成を含めると会社負担はさらに軽くなる)

B. ②人材育成支援コース(通常分)

同じ研修

33万円×45%=14万8,500円(上限15万円以内)

12時間×800円×10名=9万6,000円

18万1,500円

C. ④東京都DXリスキリング助成金

10名・6時間(半日×2回)の研修、一式20万円(税抜)

20万円×3/4=15万円(1人7万5,000円の上限内)

なし

5万円

ケースAとBの差が示すとおり、同じ研修でも①と②では経費助成に約10万円の差が出ます。①が使える令和8年度中に計画を立てる価値はここにあります。なお、対象経費の範囲や見積書の税区分の扱いは、申請前に労働局へ確認してください。

企業規模・状況別の使い分けパターン

自社の状況に近いパターンから、どの制度を使うかを判断してください。

状況

使う制度

設計のポイント

従業員10〜30名、AI活用をこれから始める

①リスキリングコース

経営者を含む10名前後で12〜15時間の業務直結型研修。DX化の取り組みを事業展開等実施計画に落とし込む

都内の小規模企業、まず半日で全員の底上げをしたい

④東京都DXリスキリング助成金

3時間以上10時間未満の研修を年度内に複数回。次の実践編は①で設計

DX推進担当を1〜2名、本格的に育てたい

③人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)または①

ITSS・DSSレベル3以上の講座なら③、業務直結の独自研修なら①

全社員にeラーニングで基礎を配りたい

③人への投資促進コース(定額制訓練)

受け放題型サービスを契約し、修了時間の合計10時間以上を確保。賃金助成はない

AIツール(チャットボット・RAG等)の導入と同時に研修したい

⑤デジタル化・AI導入補助金+①

ツール導入費と導入研修は補助金、業務活用研修は助成金に切り分けて申請

①の要件(事業展開・DX計画)を整えられない

②人材育成支援コース

職務関連の10時間以上訓練であれば対象。上限15万円を踏まえて研修規模を調整

社内でAI活用人材を育てる全体の進め方は「AI人材育成の進め方」、AIエージェント(Claude Code等)の研修を助成金で設計する方法は「AIエージェント研修の始め方」で解説しています。

よくある失敗例5つと回避策

失敗例1:研修会社を決めてから助成金を調べ、計画届が間に合わない

最も多い失敗です。計画届は研修開始の1か月前が期限で、その前に職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定が必要です。回避策は、研修の検討開始と同時に制度確認を始め、研修開始日を「計画届提出日+1か月以上」で逆算して決めることです。

失敗例2:「AI」「DX」と名前に付いていれば対象になると思い込む

令和8年8月3日の改正後は、職務に間接的にしか関連しない訓練や職業人として共通の基礎スキル訓練は、DX関連でも対象外と明記されました。回避策は、受講者の職務とカリキュラムの各項目の対応関係を表にして、計画届の添付資料で説明できるようにすることです。

失敗例3:「実質無料」の勧誘に乗って不正受給になる

アンケート協力金や営業協力金の名目で受講料を還元するスキームは、事業主が経費を全額負担したことにならず不正受給とみなされます。改正後は支給申請段階で発覚すれば事業主名が原則公表されます。回避策は、見積書と契約書に還元条項がないことを確認し、相場より極端に有利な条件を疑うことです。

失敗例4:eラーニングを年度内に複数回申請する

①のeラーニング訓練は令和8年8月3日以降提出の計画届から年度1回までです。回避策は、基礎編をeラーニング、実践編を同時双方向型オンラインまたは対面研修として組み合わせ、年間の研修計画を先に固めることです。

失敗例5:同じ研修に国と都の助成金を重ねて申請する

東京都のDXリスキリング助成金は、同じ研修について国や地方公共団体の助成を受けていないことが条件です。デジタル化・AI導入補助金と人材開発支援助成金も、同一経費の重複申請はできません。回避策は、研修ごと・経費ごとに使う制度を1つに決め、見積書を制度単位で分けて発行してもらうことです。

よくある質問(FAQ)

Q1. AI研修に使える助成金は結局どれを選べばよいですか?

10時間以上の研修で、自社のDX化と結びつけて説明できるなら「事業展開等リスキリング支援コース」(経費75%+賃金1,000円/時間)が第一候補です。都内企業で10時間未満なら東京都のDXリスキリング助成金、リスキリングコースの要件に合わないなら人材育成支援コースを検討してください。

Q2. 事業展開等リスキリング支援コースはいつまで使えますか?

令和4年度から令和8年度(2026年度)までの期間限定制度です。年度内に研修を計画するなら、計画届が研修開始の1か月前までに必要なことを踏まえて、早めに準備を始めてください。制度の延長や変更の有無は厚生労働省の公式ページで確認してください。

Q3. 数名だけの受講でも助成金は使えますか?

使えます。助成額は受講者1人あたりの経費と時間で計算されるため、2〜3名の受講でも申請できます。ただし研修一式の料金が固定の場合、1人あたりの経費が上限(①は30万円、②は15万円)を超える部分は助成されない点に注意してください。

Q4. 半日のAIセミナーでも助成金の対象になりますか?

国の人材開発支援助成金は10時間以上のOFF-JTが条件なので、半日単独では対象外です。都内企業なら東京都のDXリスキリング助成金(3時間以上10時間未満)が使えます。全国の企業は、半日セミナーを複数回組み合わせて合計10時間以上の1つの訓練として計画する方法があります。

Q5. eラーニングのAI研修は対象ですか?

対象ですが、経費助成のみで賃金助成はありません。①では中小企業の上限が1人15万円、受講回数は年度1回までです。受け放題型のサービスなら③人への投資促進コースの定額制訓練(経費60%、1人1か月2万円上限)も選択肢です。

Q6. 申請手続きを研修会社に任せられますか?

有償での申請代行は社会保険労務士(法人)にしか認められていません。研修会社は計画届に添付するカリキュラムや受講記録の提供、スケジュールの助言はできますが、書類作成・提出の代行を有償で行うことはできません。手続きが不安な場合は社会保険労務士に依頼するか、労働局の窓口に相談してください。

Q7. 助成金の入金はいつ頃ですか?

研修終了後2か月以内に支給申請し、その後の審査を経て入金されます。審査期間は労働局や時期により異なり、確認項目が多いため他の助成金より時間がかかることがあります。研修費用は支給申請までに全額支払う必要があるため、入金までの立て替えを前提に資金計画を立ててください。

Q8. 助成金とAI導入補助金は併用できますか?

同一の経費に重ねて使うことはできませんが、対象経費を切り分ければ併用できます。AIツールの導入費とその導入研修はデジタル化・AI導入補助金、業務活用のためのAI研修は人材開発支援助成金、というように制度ごとに見積書を分けて申請してください。詳細は事前に労働局と補助金事務局それぞれに確認するのが確実です。

まとめ:令和8年度は「リスキリングコースを軸に、時間帯と目的で使い分ける」

AI研修に使える公的支援は、国の人材開発支援助成金の3コース、東京都のDXリスキリング助成金、デジタル化・AI導入補助金の5制度です。10時間以上の業務直結型研修なら経費75%と賃金1,000円/時間が助成される事業展開等リスキリング支援コースが本命で、令和8年度が最終年度であること、8月3日の改正で対象外訓練が明確化されたことを踏まえると、「研修の検討と同時に制度確認を始める」「受講者の職務と研修内容の対応を説明できるカリキュラムにする」の2点が成否を分けます。制度は年度途中でも変更されることがあるため、申請前には必ず各公式ページで最新の要領をご確認ください。

株式会社Nexiでは、助成金の活用を前提とした業務直結型のAI研修を、カリキュラム設計から計画届のスケジュール逆算まで含めてご提案しています。中小企業のAI導入全体の進め方は「中小企業のAI導入完全ガイド」もあわせてご覧ください。自社がどの制度に当てはまるか判断に迷う方は、サービス資料のダウンロード(無料)またはお問い合わせからお気軽にご相談ください。

気になるテーマは、直接ご相談ください。

記事よりも早く、貴社の状況に合わせた具体的なお話ができます。

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