コラム

2026.08.11

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」【2026年8月改正版】|助成額と申請要件を徹底解説

「生成AI研修を社員に受けさせたいが、費用が気になって踏み出せない」——そんな中小企業の背中を押してくれる制度が、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」です。中小企業なら研修経費の75%、時給換算で1,000円の賃金助成が受けられ、条件を満たせば設備投資費用まで上乗せで助成されます。

ただし、この制度は令和8年8月3日に支給要領が改正され、対象となる訓練の範囲や不正受給時のペナルティに関するルールが変わりました。改正前の情報のまま申請準備を進めると、計画届が受理されない、あるいは支給決定後に取り消されるリスクがあります。本記事では、厚生労働省の公式ページで公開されている最新パンフレット(詳細版)をもとに、制度の全体像・助成額・8月改正のポイント・申請の流れ・よくある失敗例までを整理します。

なぜいま、この制度を正確に理解しておく必要があるのか

令和4年度〜8年度の期間限定制度

事業展開等リスキリング支援コースは、令和4年度から8年度までの時限措置として創設された制度です。厚生労働省のパンフレットにも「期間限定の助成金として創設しました」と明記されており、恒久的な制度ではありません。2026年度中に活用を検討している企業は、後述する計画届の提出期限(訓練開始日の6か月前〜1か月前)から逆算して、早めに準備を始める必要があります。

8月3日改正で「グレーゾーン」が明確に閉じられた

今回の改正の核心は、これまで解釈の余地があった部分が明確化されたことです。特に「DX・GX関連の訓練であれば救済されるかもしれない」という運用が、令和8年8月3日以降に提出する計画届からは通用しなくなりました。詳細は後述しますが、この変更を知らずに計画届を提出すると、対象外訓練として不支給になる可能性があります。

AI・DX研修と相性がよい制度設計

本コースは、新規事業の立ち上げに伴う新分野の知識習得だけでなく、「企業内のデジタル・DX化を進める場合にこれに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練」も対象に含みます。生成AI活用を目的とした研修は、まさにこの類型に当てはまるケースが多く、Nexiが提供するAI研修とも相性のよい制度です。研修そのものの選び方は「AI研修の選び方完全ガイド」、社内でAI活用人材を育てる進め方は「AI人材育成の進め方」もあわせてご覧ください。

人材開発支援助成金の全体像と、本コースの位置づけ

人材開発支援助成金には複数のコース(メニュー)があり、事業展開等リスキリング支援コースはその一つです。まず全体像を押さえておきましょう。

コース名

主な対象

制度開始

人材育成支援コース

10時間以上のOFF-JT、正社員転換を目的とした訓練等

-

教育訓練休暇等付与コース

有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)の導入

-

建設労働者認定訓練コース/技能実習コース

建設業の認定職業訓練・技能実習

-

人への投資促進コース

高度デジタル人材訓練、定額制研修サービス、自発的職業能力開発訓練等

令和4年4月〜

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開・DX/GX化・人事人材育成計画に基づく訓練

令和4年12月〜(令和8年度まで)

本コースは、10時間以上のOFF-JTであること、事業主が雇用する被保険者を対象とすることなど、他コースと共通の骨格を持ちながら、「事業展開」「DX・GX」「人事人材育成計画」という3つの切り口に特化している点が特徴です。

事業展開等リスキリング支援コースの基本要件

対象となる訓練は3パターンのいずれか

対象となる訓練は、OFF-JTにより実施され、実訓練時間数が10時間以上であることを前提に、次の①〜③のいずれかに該当する必要があります。

  • ①事業展開に伴う新分野訓練:新規事業の立ち上げなど事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練。訓練開始日から起算して3年以内に実施予定のもの、または6か月前までに実施したものに限る
  • ②DX・GX関連訓練:企業内のデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識・技能を習得させる訓練
  • ③人事人材育成計画に基づく訓練:企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、今後従事することが予定される職務(訓練開始日から起算して3年以内に従事予定のもの)に必要な専門的な知識・技能を習得させる訓練

③の類型で中小企業が申請する場合は、事業展開等実施計画や人事・人材育成に関する計画の内容について、あらかじめ認定経営革新等支援機関(中小企業庁が認定する経営相談の専門機関)の確認を受ける必要があります。

逆に、単にデジタル機器を使った文章・数値の入力や書式変更程度の初歩的操作、既存アプリ・システムの購入とその操作方法の習得、コンサルタントによる指導のみといった内容は対象外です。

「職務関連訓練」かどうかはこう判断される

対象となる訓練は、受講者の職務に関連した専門的な知識・技能の習得を目的とする「職務関連訓練」である必要があります。厚生労働省のパンフレットでは、業種・職務ごとに次のような判断例が示されています。

事業内容

対象労働者の職務

職務関連訓練と判断される例

情報通信業

システム設計・開発・保守

プログラミング言語やプロジェクト管理手法、セキュリティに関する知識を習得させるための訓練

業種を問わず

営業企画

Webマーケティングの手法を身につけさせるための訓練

業種を問わず

社内DXのプロジェクトリーダー

PL(プロジェクトリーダー)に必要なリーダーシップやコミュニケーション等、プロジェクト推進力を身につけさせるための訓練

業種を問わず

人事・労務管理

労働関係法の法改正のポイントや、採用・人材の定着・活用に関する訓練

ポイントは、「対象労働者が今後担う職務」と「訓練内容」の対応関係を具体的に説明できることです。営業企画・DXプロジェクトリーダー・人事労務管理のように、業種を問わず職務関連性が認められる例もあるため、自社の職種に照らして整理しておくとよいでしょう。

訓練の実施方法によって支給要件が変わる

OFF-JTの実施方法は5種類あり、方法ごとに事業内訓練・事業外訓練の可否や賃金助成の有無が異なります。

実施方法

訓練時間数の要件

事業内訓練

賃金助成

通学制・同時双方向型の通信訓練

実訓練時間数10時間以上、受講率8割以上

eラーニング・通信制

標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上

×

×

定額制サービスによる訓練

修了した訓練の標準学習時間数が合計10時間以上

×

×

eラーニング・通信制・定額制サービスは経費助成のみが対象で、賃金助成は受けられません。社内で対面研修を行う「事業内訓練」として賃金助成まで受けたい場合は、通学制または同時双方向型のオンライン研修(リアルタイム型)を選ぶ必要があります。

そもそも申請できない事業主の条件

訓練内容が要件を満たしていても、事業主側が次のいずれかに該当すると支給対象外になります。申請準備の前に自社が該当しないか確認しておきましょう。

  • 支給申請をした年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納付していない事業主(納付猶予期間内の納付を除く)
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反があった事業主
  • 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
  • 暴力団関係事業所の事業主、または役員等が暴力主義的破壊活動を行った(または行うおそれがある)事業主
  • 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
  • 訓練開始日・支給申請日・支給決定日のいずれかの時点で、雇用保険適用事業所でない(雇用保険被保険者が存在しない)事業所
  • 過去に不正受給を行い、不支給措置期間が適用されている事業主

助成額・助成率と支給限度額

助成額は、経費助成・賃金助成・設備投資加算の3本立てです。

企業規模

経費助成率

賃金助成額(1人1時間あたり)

設備投資加算

中小企業

75%

1,000円

導入費用の50%

中小企業以外(大企業)

60%

500円

対象外

経費助成には実訓練時間数に応じた上限額が設定されています。

実訓練時間数

中小企業

中小企業以外

10時間以上100時間未満

30万円

20万円

100時間以上200時間未満

40万円

25万円

200時間以上

50万円

30万円

定額制サービスによる訓練の場合は、実訓練時間数にかかわらず1人1月あたり2万円が上限です。また、賃金助成の限度時間は1人1訓練あたり1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)、1事業所が1年度(4月1日〜翌年3月31日)に受給できる助成額の総枠は1億円と定められています。

新設「設備投資加算」で機器導入費用も上乗せ助成

本コース特有の仕組みが「設備投資加算」です。訓練の「通常分」の助成に加えて、事業展開促進機器等(実技訓練で実際に使用する機器・設備等)を新たに導入した場合、割増分を追加で申請できます。対象は中小企業事業主のみです。

設備投資加算を受けるための要件

  • 訓練が①事業展開または②DX・GX関連の訓練であること(③人事人材育成計画に基づく訓練は加算対象外)
  • 訓練の実施方法が通学制または同時双方向型の通信訓練であること
  • 実技訓練で機器・設備等を実際に使用するものであること
  • 訓練終了後、賃金要件(賃金を1年以内に5%以上増加)または資格等手当要件(手当支払いにより3%以上増加)のいずれかを満たすこと
  • 導入費用が10万円以上であること(見積価格・購入価格ベース、消費税込み)

汎用的な事務機器やパソコン・タブレット・スマートフォン、経営コンサルタント料、空調設備の更新といった「不快感の軽減や快適化を目的としたもの」は加算対象になりません。あくまで訓練で習得した知識・技能を活かすための設備投資である必要があります。設備投資加算の上限額は、支給対象労働者1人につき15万円、10人以上の場合は労働者数にかかわらず150万円です。

「グリーン・カーボンニュートラル化」の訓練イメージ

設備投資加算の対象になり得る②の類型には、DX化だけでなく「グリーン・カーボンニュートラル化」も含まれます。厚生労働省のパンフレットでは、次のような例が示されています。

業種・規模の例

訓練内容の例

製造業(従業員200名程)

溶解炉を電気炉に変更しCO2削減を図るため、設備・システム変更に伴い新たに必要となる知識・技能を習得するプログラム

農業(従業員15名程)

農薬散布に使うトラクターに代えてドローンを導入しCO2削減を実施するためのドローンスクール

電気事業(従業員200名程)

風力発電機や太陽光パネルなど環境に配慮した電力供給システムを構築するためのエンジニア育成講座

対象となる経費の内訳と上限額

「事業内訓練(自社で実施)」と「事業外訓練(外部の教育訓練機関に委託)」で、対象経費の範囲が異なります。事業内訓練で部外講師を招く場合の主な上限額は次のとおりです。

経費区分

内容・上限

部外講師への謝金・手当

実訓練時間数1時間あたり3万円が上限(消費税込み)

部外講師の旅費

国内招へいの場合5万円、海外からの招へいの場合15万円が上限

施設・設備の借上費

教室・実習室・会場使用料、マイクやスクリーン等訓練専用の備品借上費

教科書・教材購入費

頒布を目的として発行される出版物のみが対象

訓練コースの開発費

大学・専修学校等に訓練コースの開発を委託した場合の費用

事業外訓練の場合は、受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等が対象です。ただし、いずれの場合も、申請事業主と密接な関係にある講師・教育訓練機関(役員の親族が代表を務める会社など)に支払う費用は対象外となる点に注意してください。

【令和8年8月3日改正】変わったポイント4つ

今回の改正でとくに注意すべき変更点を4つに整理します。まず、変更前後の内容を一覧表で比較します。

項目

変更前(令和8年5月14日改正版まで)

変更後(令和8年8月3日以降提出の計画届)

①対象外訓練とDX・GXの関係

「職務に間接的にしか関連しない訓練」「職業人として共通の基礎スキル訓練」でも、DX・GX化に関連する内容であれば対象となる余地があった

DX・GX化に関連する内容であっても、上記に該当する訓練は明確に対象外

②eラーニング訓練の受講回数

1労働者につき1年度で3回まで(通学制等と同じ上限)

1労働者につき1年度で1回までに制限(複数の実施方法を組み合わせる場合も含む)

③不正受給時の事業主名公表

支給決定など一定の手続きを経た段階で公表を検討する運用

支給申請を行った段階で、自主申告がなければ支給決定前でも原則公表(支給申請額合計100万円未満等の例外あり)

④適用のタイミング

-

計画届提出日が8月3日以降でも、教育訓練機関との契約・申込みや支給対象経費の契約・発注が8月2日以前なら、経過措置により変更前のルールを適用

① DX・GX訓練でも「対象外訓練」に該当すれば救済されなくなった

従来、「職務に間接的にしか関連しない訓練」や「職業人として共通して必要な基礎的スキルの訓練」は原則対象外とされてきました。改正後は、これらに該当する訓練は、たとえDX・GX化に関連する内容であっても令和8年8月3日以降に提出する計画では対象外となることが明記されました。「AI」「DX」という言葉が入っていれば通るだろうという見立てで訓練内容を設計すると、審査で弾かれるリスクが高まっています。

② eラーニング訓練の受講回数制限が年1回までに厳格化

助成対象となる訓練等の受講回数は、従来「1労働者につき1年度で3回まで」でした。令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づくeラーニングによる訓練(複数の実施方法を組み合わせる場合も含む)は、1労働者につき1年度で1回までに制限されています。年間を通じて複数のeラーニング講座を受けさせる計画を立てている場合は、通学制や同時双方向型との組み合わせも含めて再設計が必要です。

③ 不正受給時の公表に関する特例が新設された

令和8年8月3日以降の支給申請から、不正受給が認められた事業主は、支給決定前であっても、自主申告をしていなければ原則として事業主名が公表される特例が適用されます(支給決定取消・不支給決定に係る支給申請額の合計が100万円未満で、事業主が不正受給に関与していないことが明らかな場合を除く)。「自主申告」とは、労働局による実地調査や照会が入るより前に、事業主自らが不正受給に該当することを申告することです。自主申告し、受給金額と違約金・延滞金を速やかに返還した場合等は、原則として公表を免れます。

④ 経過措置により、8月2日以前契約分は旧ルールが適用される

計画届の提出日が令和8年8月3日以降であっても、教育訓練機関との契約締結・申込み(事業外訓練の場合)、または支給対象経費にかかる契約・申込・発注(事業内訓練の場合)が令和8年8月2日以前に行われていれば、改正前(令和8年5月14日改正版)の支給要領が適用されます。すでに研修会社と契約済み、あるいは社内講師での実施を発注済みという場合は、この経過措置の対象になるかを確認しておくとよいでしょう。

業種別に見る活用イメージ

厚生労働省のパンフレットでは、①事業展開、②DX・GX化それぞれについて、業種別の具体的な訓練イメージが示されています。自社の状況に近いパターンを参考にしてください。

類型

業種・規模の例

訓練内容の例

①事業展開

情報通信業(従業員30名程)

新規事業でのサイバー攻撃対策のため、サイバーセキュリティに関する訓練を受講

①事業展開

飲食業(従業員30名程)

テイクアウト・お弁当製造販売の新規開始に伴い、予約システム構築・アプリ開発の講座を受講

②DX化

運輸・郵便業(従業員50名程)

RPAとAIを活用した配送ルート最適化・帳票電子化のためのデジタル人材育成訓練

②DX化

小売業(従業員30名程)

ITツールを活用したWeb集客ノウハウ習得のための講座

②DX化

医療・福祉(従業員500名程)

オンライン診療・AI問診等、診療領域のDX化を進めるためのDX訓練

いずれも「新しい取り組みに、いま社内にない知識・技能が必要」という構図が共通しています。生成AIの業務活用も、多くの中小企業にとって「これまでなかった専門知識」に該当するため、②DX化の類型として整理しやすいテーマです。

対象とならない訓練・経費、不正受給の勧誘に要注意

対象とならない訓練の代表例

  • 普通自動車運転免許取得講習など、職務に間接的にしか関連しない訓練
  • 接遇・マナー講習など、職業人として共通して必要な基礎的スキルの訓練
  • コンサルタントによる経営改善の指導、社内会議・業績報告会
  • 資格試験そのもの(講習を伴わず単独で受験するもの)、適性検査
  • 管理職研修・マネジメント研修・リーダーシップ研修(人事人材育成計画に基づく訓練を除く)

対象とならない経費の代表例

  • 外部講師の旅費・宿泊費のうち上限を超える部分、車代(タクシー等)、食費
  • 繰り返し活用できる教材(パソコンソフトウェア、学習ビデオ等)
  • パソコン・タブレット等、職業訓練以外にも汎用的に使えるもの
  • 申請事業主と密接な関係にある者(役員の親族が代表を務める会社等)への支払い

「実質無料」をうたう勧誘には応じない

パンフレットでは、「助成金を活用すれば研修を実質無料で受けさせられる」などと謳う教育訓練機関やコンサルティング会社の存在に、繰り返し注意喚起がされています。アンケート協力金や営業協力金という名目で実質的に受講料を還元するスキームは、訓練経費を全額負担したことにならず、不正受給とみなされます。発覚した場合、事業主名・代表者名が公表され、悪質な場合は刑事告訴の対象にもなります。また、AI研修とAIツール導入をセットにして、ツール導入費まで研修費用として申請することもできません(研修費用は対象経費ですが、ツール導入費は対象外です)。

申請の流れとスケジュール

手続きは大きく4段階です。

事業展開等リスキリング支援コースの申請の流れ(計画届の提出、訓練の実施、支給申請、支給決定)の図解
  • ①職業訓練実施計画届の提出:訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に、事業所を管轄する労働局へ提出。事前に職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知が必要
  • ②訓練の実施:計画に沿って訓練を実施。訓練にかかる費用は支給申請までに全額支払い終えている必要がある
  • ③支給申請書の提出:訓練終了日の翌日から起算して2か月以内(厳守)に、必要書類とともに労働局へ提出
  • ④支給・不支給の決定:審査を経て決定(確認項目が多いため、他の助成金より時間がかかる場合がある)

設備投資加算を申請する場合は、賃金要件または資格等手当要件を満たす賃金・手当を3か月継続して支払った日の翌日から起算して5か月以内に別途申請します。計画届と支給申請、どちらも期限を過ぎると助成の対象外となるため、社内のスケジュール管理が重要です。

計画届・支給申請は、事業所を管轄する労働局の窓口、郵送のほか、雇用関係助成金ポータル(電子申請システム)からも提出できます。電子申請には「GビズイD」の取得が必要です。申請様式は厚生労働省の申請様式ダウンロードページから入手できます。

よくある失敗例5パターン

失敗例1:計画届の提出が間に合わない

研修会社を選定してから慌てて書類を整え、「訓練開始日の1か月前」という期限に間に合わないケースが最も多い失敗です。回避策は、研修内容の検討と並行して、6か月前からスケジュールを逆算して準備を始めることです。

失敗例2:DX・GX訓練だから対象になると思い込む

令和8年8月3日の改正後は、DX・GXという言葉が入っていても、職務に間接的にしか関連しない内容や職業人として共通の基礎スキルの訓練は対象外です。回避策は、訓練が対象労働者の職務内容と具体的にどう結びつくかを、申請前に整理しておくことです。

失敗例3:訓練経費の一部を対象労働者に負担させてしまう

受講料の一部を従業員に負担させたり、教育訓練機関からのキャッシュバックを受けたりすると、経費を全額事業主が負担していないとみなされ、賃金助成を含めて不支給となります。回避策は、訓練経費の負担スキームを契約前に確認し、割引や還元の名目に不自然な点がないか精査することです。

失敗例4:eラーニングを何度も申請してしまう

改正前の感覚で、複数のeラーニング講座を年度内に何回も申請しようとすると、令和8年8月3日以降提出分は年1回までの制限に抵触します。回避策は、通学制・同時双方向型のオンライン研修との組み合わせも含めて、年間の研修計画を見直すことです。

失敗例5:③人事人材育成計画に基づく訓練で、予定した職務に従事させない

③の類型で申請した場合、訓練終了後に対象労働者を予定していた職務に実際に従事させる必要があります。合理的な理由なく従事させなかった場合や、賃金・手当を不利益に引き下げた場合は、不支給決定または支給決定取消となります。回避策は、人事異動の計画を訓練計画とセットで具体的に固めておくことです。

よくある質問

Q. 生成AI研修は対象になりますか?

企業内のDX化に関連する業務に従事させる上で必要な知識・技能の習得を目的とした訓練であれば、②の類型として対象になり得ます。ただし、令和8年8月3日以降は、単なる基礎的なITスキル講習や職務に直接関連しない内容は対象外となるため、対象労働者の職務内容と研修内容の関連性を明確にしておく必要があります。

Q. 少人数の受講でも申請できますか?

可能です。助成額は1人あたりの経費・時間数で計算されるため、数名規模でも活用メリットがあります。

Q. すでに研修会社と契約してしまいましたが、8月3日以降に計画届を出しても大丈夫ですか?

契約締結や申込みが令和8年8月2日以前であれば、経過措置により改正前の支給要領が適用される可能性があります。契約書や申込書など、契約日・申込日がわかる書類を保管しておいてください。

Q. eラーニング形式の研修は対象ですか?

対象ですが、賃金助成は受けられず経費助成のみとなります。また令和8年8月3日以降提出分は、年度内の受講回数が1回までに制限されています。

Q. 助成金の申請手続きを研修会社やコンサル会社に代行してもらえますか?

助成金の支給申請手続き業務(申請書の作成、提出代行等)を有償で行うことは、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者には法律上禁止されています。無償を謳っていても、実質的に受講料へ手続き代行の対価が上乗せされている場合は問題になり得るため注意してください。

Q. 設備投資加算だけを単独で申請できますか?

できません。設備投資加算は、通常分の訓練助成(経費助成・賃金助成)とセットで、賃金要件または資格等手当要件を満たした事業主が追加で申請する仕組みです。

Q. 助成金を使わずに研修だけ先に進めることはできますか?

計画届を提出する前に始めてしまった訓練は、原則として助成対象になりません。助成金の活用を検討している場合は、必ず訓練開始前に計画届を提出してください。

Q. IT導入補助金など他の補助金と併用できますか?

同一の経費・賃金・訓練実施を対象として複数の助成金や補助金を申請する場合、いずれか一方しか支給されない「併給調整」が行われることがあります。研修費用は本コース、AIツールの導入費用はIT導入補助金というように、対象経費を明確に切り分けて申請すれば問題になりにくいですが、詳細は事前に労働局や各制度の窓口に確認することをおすすめします。

まとめ:改正内容を踏まえたスケジュール設計がカギ

事業展開等リスキリング支援コースは、中小企業がAI・DX研修に取り組む際の負担を大きく軽減できる制度です。一方で、令和8年度が制度の最終年度であること、そして8月3日の改正で対象範囲や不正受給時のルールが厳格化されたことを踏まえると、「思い込みで進めない」「早めに準備する」という2点がこれまで以上に重要になっています。制度は年度途中でも変更される場合があるため、申請前には必ず厚生労働省の公式ページで最新の支給要領をご確認ください。

株式会社Nexiでは、助成金の活用を前提としたAI研修のカリキュラム設計や、AI導入・DX推進のコンサルティングを通じて、申請スケジュールの逆算から研修内容の設計までを支援しています。助成金制度の概要や研修会社選びの基礎は「AI研修に使える補助金・助成金まとめ」、研修以外にAI導入自体に使える補助金は「AI導入で使える補助金まとめ」、AI導入の全体的な進め方は「中小企業のAI導入完全ガイド」もあわせて参考にしてください。自社の場合どの類型に当てはまるか判断に迷う方は、サービス資料のダウンロード(無料)またはお問い合わせからお気軽にご相談ください。

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